「おい、!」
「うわぁっ…び、びっくりした…」
「お、わりぃ…」
勢い良く開けた扉を閉めて、瞬間固まる。
…ん?待てよ…
今のって、着替え中…ってやつだよな。
フカコーリョク…ってヤツだったんだから、どうせならバッチリ見てから閉めればよかったんじゃねぇの?
「こんなとこで優等生アリスさんになってどーすんだよっ!あ゛〜〜っ…勿体ないことしたー…」
がっくり肩を落とすと同時に、目の前の扉が開き、すっかり着替えを終えたが出てきた。
「どうしたの?アリス…」
「…なんでもね…っつーか、入ってイイ?」
「うん、勿論どうぞ」
ついさっき、見事に開かれていた胸元は…今は、しっかり閉じられてイタノデシタ。
「はい、お茶」
「サンキュー」
「…それで、どうしたの?」
「あ?」
やっべ、ついいつものクセで、寝る前のお茶会を普通に楽しんじまった。
ごくりと音を立てて口に入れていたお茶を飲み込むと、勢い良く立ち上がる。
「お前!今日、誕生日だったってホントか?」
「うん」
素直に頷いたのこめかみに両拳をあて、ぎりぎりと動かす。
「てめぇ、なんだってそんな大事なこと黙ってやがった」
「いたっ、痛いよアリス!今日は、なんか…いちだんと痛い〜〜っ!」
「…ったり前だ!」
最後にバシッと頭を叩いてから、その手を机につく。
「お前、誕生日がどれだけ大切か知ってるのか!?」
「???」
「誕生日ってのは、お前が生まれた日であって、今日って日があるからお前がここにいるんだぞ!」
気づかれなければ、ウマレナイ
誰かが拾わなければ、ココニハイナイ…
「お前が思ってるより、大事なもんなんだぞ…」
「…アリス」
言うつもりのなかった台詞まで勢いで言っちまった気もするが、まぁいい。
それよりも今は、コイツの誕生日祝いだ。
「この時間じゃケーキも買えねぇし…」
「……?」
「プレゼントだって間に合わねぇ…つーか、俺、金ねぇし…」
「あの…」
「こうなったら、あれか。恥を忍んで歌でも歌うか…」
「…えーと、アリス?」
「それともカードとか…手書きの。………うっわ、想像しただけで鳥肌立…」
「アリスーー!!」
「うわああっ」
叫ぶと同時に、考え込んでいた俺の頬を包み込むようにの手が伸びてきた。
鼻先が触れそうな距離で、なにやら怒ったような顔で俺を見てる…こんな表情、はじめて見た。
「…いらない」
「は?」
「そんなの、いらない」
「おま…俺が折角…」
「アリス、一番欲しい言葉…くれてないよ」
――― 一番ホシイ言葉?
「ケーキも、プレゼントも、お祝いの歌も、カードもいらない」
「……」
「ねぇ、アリス…わからない?」
今にも泣き出しそうな顔してんじゃねぇよ、ばーか。
いくら0歳児のアリスさんだって、そんくらいわかるに決まってんだろ。
でも、折角なら…なんか、やりたいって思ったんだよ。
この、アリスさんが…だぜ?
でも、ま…
本人が一番望むものをやるってのが、誕生日の醍醐味ってヤツだよな
少しだけ顔を動かして、額をこつんとにくっつけると…俺は、ずっと心で思っていた言葉を、彼女に伝えた。
――― Happy Birthday…誕生日、おめでとう
今年の誕生日で、初めてAre you Alice?のキャラのほぼ全員を使って書いた
一応、連続する話……です。
UPするために、コメントとタイトルを考え直しました。
アリスさんは書くのも聞くのも大好きです。
思いっきりフリーダムにお子様アリスさんは動いてくれます。
優等生アリスさんは、私の中にはいません(笑)
でも、素直なところがアリスさんのいいところです。
順番にお祝いして貰うってのはやってみたかったので、書き終えられて大満足です。
最後はやっぱりアリスさんじゃないとね!
ってことで、長々と全7話…お付合いありがとうございました。
…え?足りない?
双子は鏡の国だし、白の騎士もそうでしょ?
鶏卵の卵に用はないしー、ダイナは喋れない。
おねーちゃんや88番目のアリスは女性なので、却下(おい)
ルイスキャロルはアリスのものだから、手は出しません←おい
シャーロット…とか言われても困るし、三月は名前だけ出たからヨシ←え?
全員わかる人は、立派なAre you Alice?好きです(笑)